中国市場の需要低下で市場の成長は鈍化

矢野経済研究所は8月26日、車載用リチウムイオン電池の世界市場動向と予測を発表しました。

2019年の車載用車載用リチウムイオン電池世界市場規模は、容量ベースで前年比17.6%増の133.1GWh(推計)でした。

搭載されるxEVタイプ別に出荷容量をみると、HEV用が前年比85.7%増の1.9GWh。PHEV用が同2.9%減の9.3GWh、EV用が同18.8%増の121.8GWhとなり、EV用リチウムイオン電池の構成比が9割を占めました。

欧州を中心にHEV用が伸びを示しており、EV用ではTeslaモデル3などを中心に中容量のEVが大きく成長しています。その一方で、PHEV用や低容量EV用は、前年割れに転じました。特に中国では、補助金条件の変更などを背景に需要が伸び悩んでいます。

​車載用リチウムイオン電池の世界市場は、これまで堅調に成長してきました。しかし市場をけん引してきた中国市場の伸び悩みを受けて、成長スピードは鈍化傾向にあります。

政策ベースと市場ベースの2つの予測を実施

矢野経済研究所では新型コロナウイルスの影響によって自動車市場全体が縮小したこと、また現時点での各国の景気・経済対策などを考慮して、車載用リチウムイオン電池の世界市場について「政策ベース予測」と「市場ベース予測」の、2つの成長予測を行っています。

政策ベース予測では世界的な環境規制強化の動きと、自動車メーカー各社の電動化シフトを背景に、2020年も欧州を中心にxEV市場が成長する見込みです。

政策ベース予測における2030年の車載用リチウムイオン電池の世界市場規模は、容量ベース2025年比95.3%増の1,720.8GWhになると予測されます。

一方、市場ベース予測では、使い勝手の良さや車両価格の求めやすさなどの消費者ニーズを背景に、新型コロナウイルスの影響による経済の減退を受け、xEV市場が前年割れで推移すると予測されます。

市場ベース予測における2030年の車載用リチウムイオン電池の市場規模は、容量ベースで2025年比72.0%増の496GWhとなる見通しです。このうち、HEV用が容量ベースで同71.1%増の7.3GWh、PHEV用が同66.0%増の45.4GWh、EV用が同72.7%増の443.2GWh増になると予測されます。

(画像はプレスリリースより)

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株式会社矢野経済研究所のプレスリリース
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