Power Appsを導入し、何をアプリにするかを決めて企画設計が終わり、いざアプリを作り始めよう!としたとき、「何からやればいいんだろう…」と手が止まってしまうことはありませんか?そこで、現役でアプリ開発を行っているエンジニアの松本さんに、「どのようにアプリ開発を進めているのか」、「工夫しているところや意識しているところ」などをお聞きしました!
松本 怜 | Microsoft Power Platformスペシャリスト
1989年生まれ。大学卒業からIT業界に約10年携わる。
Microsoft SharePointをメインに扱っており、導入・運用保守から移行まで携わる。2019年からはPower Platformの利活用プロジェクトにも参画。PowerApps、Power Automateを中心に多くのアプリやワークフローを作り顧客の業務効率化を実現。
今回はこちらの「勤怠管理システム」の開発事例をもとにお話を伺いましたので、先にこちらの記事をご覧いただきますと、よりイメージができると思います。
Power Appsでの開発はこのように進む!
「お客様の課題が解決されるイメージ」を明確に持つ
ーーアプリを開発するとき、最初にどんなことを考えますか?
お客様の業務と課題をイメージし、システム化によって何がどのように解決されるかをイメージします。イメージできるようになるまで確認し、お客様にとってアプリ化することに本当にうまみ(=メリット)があるかを判断します。
アプリ開発は4つのステップで行う
ーー勤怠管理アプリの開発ではどのような工程があり、どんな順番で進めましたか?
開発には大きく分けて、⑴プロセスの洗い出し、⑵機能一覧の作成、⑶アプリの作成、⑷改修の4つのステップがあり、その順番に沿って進めました。それぞれのステップでは下記のようなことを行います。
⑴プロセス(=業務手順)の洗い出し
アプリ化する業務の流れや、その際にどんな動作が行われているのかなどを整理します。その際はPower Pointを使ってイメージする方もいますが、私の場合は慣れた手書きで行います。そこから、アプリ化によって課題を解決するためにはどんな機能が必要かを考えます。
⑵機能の一覧を作成
ステップ1で必要な機能をイメージしたら、それを整理してまとめていきます。
⑶機能一覧を元にアプリを作成
ステップ2で作成した機能一覧をもとに、アプリを開発していきます。今回のシステムでは、データベースとなるExcelやSharePointリストの作成、Power Appsでデータ連携や画面のデザイン、Power Automateを用いてワークフローの開発という順に進めました。
⑷理想と現実の比較、改修
アプリを作成したら、お客様にお見せしながらお客様のイメージと現実を擦り合わせていきます。よりお客様の理想に近づくようにシステムを改修して完成に近づけていきます。
お客様の既存の環境に適したデータベースに
ーーデータベース設計の開発ではどんなことを意識しましたか?
今回の開発では、最終データをお客様が使っている別のソフトで利用するという要件があったので、その既存システムのデータベースの仕組みと一致するように設計しました。また、現在利用されているExcelの形式もありましたので、その形にデータを整形して出力できるようにすることも目指しました。
普段の開発では、複数データベースを扱う場合もあります。そのような場合には、それぞれのデータベースをバラバラの状態にするのではなく、対応させるようにすることで、運用や保守の面で扱いやすくなるように意識しています。
とにかくわかりやすいアプリデザインに
ーーUI(画面デザイン)の設計ではどんなことを意識していますか?
とにかく「わかりやすく」することを意識しています。具体的には、誤解を生むようなデザインを避けることを意識しています。チェックマークなどのアイコンによる認識の違い、ボタンの配置による操作ミスが起こらないようにしたり、特定の条件下では指定された動作しかできないようにするなど、紛らわしさをなるべくなくすようにしています。
Microsoft製品での開発は連携に強み。使いこなすには慣れが必要。
ーーMicrosoft製品での開発の特徴や良い点・悪い点を教えてください。
フルスクラッチ(プログラミング言語を用いてゼロから開発する手法)と比較して、Ready made(アプリ開発に必要な仕組みやテンプレートすでに準備されていること)で開発できることによって、工数を少なく開発できるところが良い点だと思います。
Power Platformとその他のローコード開発ツールを比較した場合でも、Microsoft公式のためOffice製品(現在のMicrosoft365シリーズ)との連携が保証されているため、利用しやすいところがいいですね。
一方で、Power Platformは独特の癖(Power Platformにしかない特徴)があり、教材がわかりづらいことが難点だと感じています。例えば、開発途中に頻出するエラーメッセージがわかりにくく、その意味を自分で解釈する必要があります。また、日本語になったときに言語が崩れたり、わかりにくくなったりすること、海外仕様のデフォルト設定になっていることなどがあり、慣れるまでには少し時間がかかるのではと思います。
最後に
今回は、現役でアプリ開発を行っているエンジニアの松本さんに、「どのようにアプリ開発を進めているのか」、「工夫しているところや意識しているところ」などをお聞きしました。Power Appsによるアプリ開発は、短い間隔で開発・修正を繰り返すことで手軽に業務改善を行うことができるツールです。製造業の現場でも活用が進んでいますので、製造業の現場改善や業務効率化などをお考えの方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、今回ご紹介した内容はほんの一例ですので、開発手順やPower Platformの活用について詳しく知りたい方は下記よりお問い合わせください。