この記事では、工場経営ニュースを運営する株式会社ジャパン・エンダストリアルの支援事例をご紹介致します。

企業情報

創業60年目の、関東に本社・工場を持つ、部品加工メーカー様。従業員数約100名。60年目を期に2代目社長が引退され、3代目社長が就任。

ご相談いただいた背景

既にIT化に自社で取り組まれているお客様。電子帳票や、加工機の情報を取得するシステム、在庫管理システムを導入済みでしたが、それぞれ違うシステムを使用していたため、総合的なデータを見ることができないことにお悩みでした。総合的なデータを取り、経営判断に活用するために、当社にお声がけをいただきました。

プロジェクトの流れ

1.取られている情報の見える化

まずは、電子帳票や、加工機の情報を取得するシステムから、どのような情報をどれくらいとっているのか、を調査しました。

そこでわかったことは、これらのシステムがバラバラであることに加え、システムを管理している部門自体も、バラバラであることでした。製造部門・生産管理部門・品質保証部門という3つの部門にわたっており、それぞれの部門の中で、システムから得た情報が完結してしまっていることで、現場全体の情報を読み取ることができていないことが見えてきました。

そして、モノの流れを把握しているシステムがないことも、わかりました。モノが何日間滞在しているか、在庫がどれくらい残っているか、どんな状態で保管されているかがわからないと、どのようなモノが加工されていたかを、正確に見ることができません。今あるシステムと、モノの流れを把握するシステムを導入し、つなげることで、現場の流れ全体を見える化するプロジェクトが発足しました。

2.システム導入の決定と、新たな壁

上記で見えてきた課題を整理し、当社より、お客様に適したシステムをピックアップし、ご提案。結果、モノの流れを把握するシステムと、BIツールを導入することが決まりました。BIツールとは、ビジネス・インテリジェンス・ツールの略で、企業に蓄積された大量のデータを集め、分析するためのシステムです。

導入はすぐに決定したものの、本当の課題は、既存の社員の方々による、心理的な壁でした。

歴史がある企業様、かつ自社でシステム化に取り組まれている企業様ほど、自社の事業や取り組みに対して誇りや熱量をお持ちです。そして、その分、さらなる変化に対して、懐疑的になったり、反発が起こったりします。

今回の提案が、それぞれの部門でお持ちだったシステムを統合する、さらに上位概念となるシステムの導入であったこともあり、当初、社内からは反発が起きました。「これまでの仕事は無駄になるのか」というお声や、社長が交代されたばかりということもあり、自身よりも経験の浅い経営陣に対する不安感のようなものも、感じられました。それは、自社を守ろうとする、既存社員の皆様の、自社への愛情の表れでもありました。

3.既存社員の方々との対話と、リスペクト

そこで、当社が行ったことは、現場に足を運び、既存の社員の方々と、対話をすることでした。新しいシステムは、既存の社員の方々のこれまでの取り組みを否定するものではないこと。先代の先輩たちが、何を見ていたか、何を大切にしていたかを、現場の方々にヒアリングし、その観点をシステムに入れ込むことで、後輩に伝えていくものであること。それらをひとりひとりに伝えました。

株式会社ジャパン・エンダストリアルの理念は、「ものづくりの世界をより豊かに」。今あるものを壊して変えてしまうのではなく、今ある良いものを、さらに良くすることを志としています。

だからこそ、これまで現場を支えてきた方々を、決して否定することはいたしません。スーツにネクタイの人間が、大切な現場に突然やってきたらどう思うだろう。そう考え、その会社様の作業着をお借りして、それを着て皆様のところに伺うこともあります。システム導入時には、いかにして現場の皆様の理解を得て、巻き込めるかが、とても大切です。

既存の社員の皆様も、当社の話に耳を傾けてくださり、最終的にはご納得をいただくことができました。無事にBIツールの導入が成功。現場の状況が一つの流れとしデータ化され、リアルタイムで把握できるようになり、経営判断に役立てることができるようになりました。

実現したこと

現場の状況が一つの流れとしデータ化されたことにより、それらの機械を動かすための電気代、管理するための人員などが把握できるようになり、より最適な人員配置や、コスト削減を実現することができました。

「うちは古くて変われない」という、諦めのお声を伺うこともありますが、変わる必要はないというのが、当社のスタンスです。そのまま生かし、より良くするための方法を一緒に考えさせていただくことが、当社の役割であると考えています。

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